2026.9vol.63
過ごしやすくなって参りました。本日は秋のスキンケアについてお話ししたいと思います。
日頃の診療で、秋は「皮膚がごわごわする」「乾燥する」「シミが濃くなった」「ハリがなくなった」と仰る方が増えます。これらの原因はひとつではありませんが、夏に受けた紫外線のダメージに加え、秋の急激な気温・湿度の変化が加わることが原因のひとつではないかと考えています。
皮膚の最も外側にある角層には、外部刺激から体を守り、内部の水分が蒸散するのを防ぐ「バリア機能」があります。夏に強い紫外線を繰り返し浴びると、表皮では防御反応として角層が厚くなる「角質肥厚」が起こることがあります。すると皮膚表面はごわごわ厚く固くなり、キメが乱れて見えるようになります。さらに秋になり気温や湿度が低下すると角層の水分量が低下しやすくなります。紫外線によるダメージに乾燥が加わることで角層のバリア機能が低下し、乾燥、かゆみ、刺激感などの皮膚トラブルにつながることがあります。
このように、夏に始まった変化が秋になって次々と表面化する、いわば時間差の皮膚トラブル連鎖は時間差カスケードと呼ばれることもあり、この季節に特に注意を要します。
皮膚の厚さやごわごわが気になるために、スクラブ洗顔やピーリングなどの角質ケアを行う方も多いですが、適度に行うぶんには構いませんが、過剰に行わないようにしましょう。角層を必要以上に除去するとかえって乾燥や刺激を悪化させる可能性があります。秋のスキンケアでは、まず低刺激の洗浄を心がけ、必要に応じて穏やかな角質ケアを取り入れます。そして重要なのが、早めの保湿です。保湿作用のある化粧水、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分を含む美容液や乳液、クリームなどを組み合わせることもお勧めです。角層の水分保持と皮膚バリア機能をサポートしましょう。
秋にもう一つ注意したいのが、夏の紫外線による光老化です。
紫外線を浴びると、表皮のメラノサイトではメラニン産生が促進されます。メラニンには紫外線から皮膚を守る重要な役割がありますが、過剰に生成されたメラニンがターンオーバーによって十分に排出されないと、色素沈着として残り、シミやくすみが目立つ原因になります。さらに重要なのが真皮への影響です。特にUVAは真皮にまで到達し、真皮のコラーゲン線維の変性・分解の原因となり、長期的には弾力低下やシワ、たるみにつながります。
これが「光老化」です。光老化は加齢による自然な老化とは異なり、長年浴びてきた紫外線の影響が蓄積して生じるため、日々の紫外線対策を継続することが非常に重要です。夏のダメージを感じる秋は、保湿を中心にスキンケアを見直すよいタイミングです。
特に夜は、洗顔後に十分な保湿を行い、皮膚の状態や目的に応じて、ナイアシンアミドやビタミンC誘導体などを配合した美容液を取り入れるのも一つの方法です。その後、乳液やクリームなどで皮膚表面を保護し、水分の蒸散を抑えます。秋の夜長にお勧めなのが夜の間にじっくり効かせる夜間集中リペアです。夜、読書を楽しみながらスキンケアもするのはいかがでしょうか。様々な商品が出ていますので試してみることをお勧めします。
また、涼しくなったからといって紫外線対策を終わらせないことも大切です。日焼け止めや帽子などによる紫外線対策を続けながら、保湿ケアを早めに強化する。この二つを組み合わせることが、夏のダメージを冬まで持ち越さないためのポイントです。過酷な夏を乗り切った皮膚に、秋仕様のスキンケアを取り入れて、来る寒い冬に立ち向かう準備を着実に始めて行きましょう。
嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。