2026.8vol.62
お変わりなくお過ごしでしょうか。本日はヒアルロン酸についてお話します。化粧品や食べ物にも含まれている成分で、その名をいろいろなところで目にすると思います。
ヒアルロン酸は「皮膚に良い成分」というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、そもそもどのような働きをする成分なのでしょうか。ヒアルロン酸は、私たちの体内に元々備わっている「ムコ多糖類」の一種です。最大の特徴はその保水力で、わずか1gで約6リットルもの水分を抱えることができるのです。
ヒアルロン酸は皮膚だけでなく全身のあらゆる場所に存在し、それぞれの場所でその保水力を生かして重要な役割を担っています。 関節では 関節液や軟骨に含まれ、関節のなめらかな動きに役立ちます。また 眼の硝子体にも含まれ、目の形状を維持し、視覚機能を守っています。 皮膚の真皮・表皮では 細胞と細胞の間で水分を保ち皮膚のハリを支えています。今日は特に皮膚とヒアルロン酸について詳しくご説明をいたします。
ヒアルロン酸は健康な体を維持するために欠かせない成分です。しかし、体内のヒアルロン酸量は赤ちゃんの頃をピークに、加齢とともに減少します。40代後半から減少スピードが加速し、70代では赤ちゃんの頃の約20%以下にまで落ち込むと言われています。ヒアルロン酸が減少するとどうなるでしょうか。真皮層で水分を繋ぎ止める力が弱まり、皮膚のクッション性が失われ、しわができます。 土台となるボリュームが減ることで、重力に負けて皮膚が垂れ下がりたるみとなります。また保水力が低下し、乾燥しやすくなります。
次に対策です。
紫外線を浴びると、ヒアルロン酸の分解酵素(ヒアルロニダーゼ)が増え、皮膚内のヒアルロン酸の量が減少することが分かっています。一年中日焼け止めを塗って紫外線予防を行うことで皮膚のヒアルロン酸を守りましょう。また、ヒアルロン酸は皮膚に塗って補うこともできます。様々な化粧品の保湿成分としてヒアルロン酸が配合されています。しかしヒアルロン酸皮膚表面に塗って保湿するには適していますが、皮膚の奥に浸透させてハリを持たせることは困難でした。どれだけ高濃度のヒアルロン酸を塗布しても、分子量が大きすぎて皮膚の角質の下まで通過させられないからです。
そこで近年注目されているのが「加水分解ヒアルロン酸(低分子ヒアルロン酸)」です。これは、本来大きなヒアルロン酸の分子を、酵素や酸を用いて小さくナノ化したものです。高分子ヒアルロン酸と比較して、浸透力が飛躍的に高まります。皮膚表面角質の隙間をすり抜けて角質の深部まで潤いを届けられるので、内側からしっかり水分を保持して保湿力が持続しやすくなります。また角質をふっくらと押し上げることで、細かい乾燥によるシワや毛穴が目立ちにくくなります。他にも、最新の研究で、ヒアルロン酸が表皮への紫外線による影響を軽減することが明らかになりました。ますますヒアルロン酸の活用が期待されています。
全身のヒアルロン酸の減少は年齢により避けられないことですが、研究や技術の進歩により手軽に取り入れる事ができるようになっています。スキンケアは毎日のこと。ご自身の肌質やお悩みに合った化粧品で毎日無理なくお手入れを続けられる事が一番大切です。保湿力のある化粧品を選ぶとき、ヒアルロン酸が配合されているか、低分子ヒアルロン酸かどうかもひとつの参考にして頂けたらと思います。
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嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。