2023.02vol.33
寒い日が続きます。寒い時期は、皮膚が乾燥することで起こる疾患が目立ちますが、気温が下がるだけでできる蕁麻疹があることはご存じでしょうか。
冬特有の病気として、本日はこの寒冷蕁麻疹を中心にお話ししようと思います。
蕁麻疹とは皮膚に盛り上がる「膨疹」を生じる病気を言いますが、この膨疹は蚊に刺されたような小豆大のものからとても大きく地図のような形に広がる皮疹まで、大きさ・形は様々で全身どこにでも現れます。
これら膨疹は、かゆみを伴うことが多く、急速に拡大して30分から数時間で痕を残さずに消失します。消失するのが湿疹との大きな違いです。
蕁麻疹はその発症において
① 突発性の蕁麻疹
② 刺激誘発性の蕁麻疹
の二つに大きく分けることができます。
① 突発性の蕁麻疹
原因はほとんどが不明です。過労、感染、精神的なストレスなどが複雑に絡み合って発症につながると考えられています。発症して間もないものは急性蕁麻疹、発症から6週以上繰り返しているものは慢性蕁麻疹として加療を行います。急性蕁麻疹の場合、内服や休息により比較的容易に治りますが、慢性蕁麻疹となりますと数ヶ月~数年続くこともあります。
② 刺激誘発性の蕁麻疹
何らかの刺激に誘発されて生じる蕁麻疹の総称で、その中でさらにAアレルギー性蕁麻疹、B物理性蕁麻疹、Cコリン性蕁麻疹などに分けられます。
Aアレルギー性蕁麻疹
食物や薬品などに含まれる物質がアレルギーを引き起こして生じる蕁麻疹です。普通、その物質を摂取して数分後~1、2時間後に症状が出ます。
B物理性蕁麻疹
摩擦によって引き起こされる蕁麻疹を「機械性蕁麻疹」といいます。何かがこすれたり当たったりすることでその部分に蕁麻疹を生じるものです。その中でも冷たいものが触れることによって起こるものを「寒冷蕁麻疹」、反対にあたたかいものが触れることによって起こるものを「温熱蕁麻疹」、太陽光線に当たることで出る「日光蕁麻疹」もあります。
Cコリン性蕁麻疹
発汗によってできる蕁麻疹
蕁麻疹の病態を説明するのに分類は必須のため長くなりましたが、寒冷蕁麻疹は②刺激誘発性の蕁麻疹の物理性蕁麻疹に分類されます。つまり、冷たい刺激で引き起こされると言うことです。これは氷や冷水はもちろん、冷たい風や空気に触れても発症します。
寒冷蕁麻疹は予防はできるのでしょうか。
寒冷蕁麻疹は冷たいものに触れてできますので、反対に言うとそれらに触れない部分にはできません。つまり、触れないようにすれば予防ができます。
寒冷蕁麻疹のできやすい方は家をあたたかくして過ごしましょう。外出時は足や首、手など露出部にでき易いですので、あたたかいズボンやタイツを履いたり、マフラーや手袋を着用したりして、できる限り露出部をなくすことが第一です。
蕁麻疹は消失しますが、膨疹を掻いてしまい湿疹化することはよくあります。掻かないようにしましょう。また、掻かないようにと保冷剤を当ててかゆみを抑えることがありますが寒冷蕁麻疹に限っては逆効果ですので冷やさないようにしましょう。繰り返すようでしたら気軽に皮膚科を受診してみてください。内服の抗アレルギー剤にて症状の緩和が見られることでしょう。
本日は冬特有の病気として寒冷蕁麻疹のお話を致しました。四季それぞれに季節の皮膚の病気がありますが、特に冬は寒さや乾燥と皮膚に厳しい季節です。しっかり保湿を行い、気になる症状があればそのままにせず、早めに皮膚科で相談しましょう。
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嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。