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ドクターズコラムDOCTOR'S COLUMN

肌の水分・油分

vol.26「肌の水分・油分」

2021.08vol.26

秋の深まりを感じる季節になりました。
今日は、「皮膚の水分・油分」についてお話しします。
皮膚の水分と油分はどちらも皮膚には必要不可欠で、足りないと支障を来しますが、多ければ良いというわけでもありません。適度な水分と油分の両方が大切なのです。

皮膚の一番表面には古い表皮細胞が幾重にも重なっている「角層」があります。
健康な皮膚はこの角層に十分な水分と適度な油分を保っています。水分と油分は皮脂、NMF(天然保湿因子)、セラミドの働きによってそのバランスを保っています。
皮脂は角層の表面を油の膜で覆い水分の蒸発を防ぐ役割を果たします。NMFは水となじみ、角質細胞の中で水分を保っています。セラミドは、角層細胞同士をつなぎ、水分を繋ぎ止める役割を果たします。

これらの正常な働きにより、皮膚は水分と油分を適度に保つことができます。

  • 肌の水分・油分
  • 化粧品メーカーでは肌のタイプを普通肌、乾燥肌、脂性肌、混合肌に分類しています。
    皮膚医学的な厳密な分類ではありませんが、わかりやすいので外来でもよくこの分類で説明しています。

    普通肌・・・水分も油分も十分でバランスの良い状態。(理想的な健康な皮膚)
    乾燥肌・・・水分も油分も不足した状態。
    脂性肌・・・水分は十分ですが、油分が過剰な状態。
    混合肌・・・水分は不足し、油分が過剰な状態。

まずは自分の肌がどのタイプかを知る必要があります。あなたの肌は次の①②に当てはまりますか。

① 皮脂でお化粧が崩れやすいと感じる
② 乾燥(皮膚表面に細かい皮のめくれ=落屑)がある

① に当てはまる方は脂性肌か混合肌です。
② がある場合は乾燥肌か混合肌です。
① と②の両方がある方は混合肌です。頬は②、Tゾーンは①というように部分的に両方の特徴がある方も混合肌に分類できます。
どちらも当てはまらない方は普通肌です。

  • 肌の水分・油分
  • 人は年齢を重ねるにつれ徐々に皮脂の分泌や水分を保持する力が衰えます。
    若い頃は普通肌でも徐々に乾燥肌になったり、脂性肌が混合肌になったりする変化が見られます。

    また季節的な変化もあります。
    冬は乾燥肌が、夏は脂性肌の特徴が出る方が多くなるでしょう。

次に肌タイプ別のお手入れ方法です。
乾燥肌の方は水分・油分両方をしっかり補充することが大切です。
化粧水を顔全体にしっかり塗り、乳液やクリームで蓋をするように覆います。このとき、メーカーの推奨する量を不足無く塗ること、保湿タイプを選ぶことも重要です。セラミド配合の化粧品もありますので使ってみるのも良いでしょう。

脂性肌の方は洗顔が重要です。こすらず、泡立てた洗顔料で皮脂をしっかり取るようにしましょう。
化粧水はメーカー推奨の量をつけ、乳液は軽いものを少量使いましょう。さっぱりタイプを使うと良いでしょう。
脂性肌の方の中には化粧水だけで乳液は使わないという方もいらっしゃいますが、化粧水だけではかえって皮脂の分泌を進めます。必ず乳液も使いましょう。
また、成人後の脂性肌は過労や食事や睡眠の乱れ、精神的ストレスが増悪因子となっていることがあります。生活習慣の見直しも同時に行いましょう。

  • 肌の水分・油分
  • 混合肌の方は、朝と夜でスキンケアの仕方を変えてみましょう。
    夜は化粧水、クリームをメーカー推奨の量でしっかり保湿。朝は化粧水をなじませた後、さっぱりした乳液を塗りましょう。特に皮脂の多い部分には薄く塗るなど工夫することで化粧崩れを防ぐことができます。
    脂性肌と同じく生活習慣の見直しも行うと良いでしょう。

普通肌の方は今までのスキンケアで良いでしょう。
年齢とともに乾燥しがちになりますのでさらに保湿を心がけ、今のまま健康な皮膚を保ちましょう。

皮膚の水分・油分を整えるという観点でスキンケアをもう一度見直して、潤いとつやのある健康な皮膚を目指しましょう。



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嵯峨 真輝 (さが まき)先生

学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。

専門分野
皮膚科 小児皮膚科 アレルギー科
資格・学会
日本皮膚科学会正会員 日本レーザー医学会認定医(1種) 小児皮膚科学会員
経歴
東京女子医科大学医学部卒業
東京女子医科大学東医療センター皮膚科入局
同医局研修医終了
東京女子医科大学東医療センター皮膚科研究生
金町駅前クリニック皮膚科医員
2008年 奥戸皮膚科医院 副院長
サイトURL
http://www.okudohifuka.com/