2021.05vol.23
フットケアという言葉をお聞きになったことはありますか。
ヨーロッパでは日本と違い昔から靴を履く習慣があったため足の手入れ=フットケアが習慣として日常に根付いています。
「足は第二の心臓」といわれ、認定資格のもと足の専門職によるフットケアが行われています。
近代となり日本でも洋装が一般化すると日本人も長時間靴を履くこととなりトラブルが増えてきました。
足のトラブル解決のため、また予防のため、日本でもフットケアの必要が説かれるようになりました。
近年フットケア専門のエステや、フットケアを行う皮膚科や整形外科のクリニックも人気となっています。
フットケアは、総合的な足の手入れを差す広い意味の言葉です。
例えば足の爪切りやスキンケア、皮膚科で行う魚の目 (鶏眼) やたこ(胼胝)の処置、整形外科で行う外反母趾など骨の変形や痛みを伴う疾患の治療から、むくみを取る美容治療やペディキュア (足の指のマニキュア)のような化粧までを含みます。
治療が必要なものは自宅でのケアはできませんが、本日はご自身で手軽にできるフットケアについてお話ししたいと思います。
まずは正しい足の爪切りです。爪、特に親指の爪を切りすぎて爪が指に食い込んで腫れや痛みを引き起こしている方を外来で大変よく拝見します。
爪は切りすぎないよう、白い部分が少し残るくらい、角が指の外に出るように切ることが重要です。
脛の乾燥は寒い時期に非常によく診る症状ですが、保湿クリームを塗るだけで充分ケアできます。
乾燥が進行しかゆみが出ている場合のケアですが、湿疹になっている場合は皮膚科受診が必要ですが、軽いかゆみや赤みは市販の抗炎症作用のあるクリームでも対処ができるでしょう。
次に足の裏です。かゆみやじゅくじゅくした部分がある場合は皮膚科を受診してください。かかとを中心に固くざらざらしている場合は角化が疑われます。スキンケアが効果的です。
しかし固いからと言ってやすりを使うと削りすぎることが多いので、おすすめできません。クリームで保湿をしっかりすることで十分柔らかくなります。特にかかとは過度に角化しひび割れしやすい場所です。
かかとの角化が気になる方はかかとを中心に足全体に厚めにクリームを塗り綿の靴下を履いて就寝してください。翌朝にはだいぶ柔らかくなるでしょう。ただし、部分的にとても固い部分がある場合は魚の目やたこ、いぼの可能性もあるため、皮膚科を受診しましょう。
それから足先です。とくに血の巡りが悪くなりやすい部分ですから外出中でも時々指先を動かしたり、帰宅後にはお風呂にゆっくり浸かったり、クリームをつけてマッサージしたりして意識的に血行を改善させましょう。
立ちっぱなしが作業の多い方は夕方にむくみやすくなります。むくみ防止の着圧靴下が効果的です。
またペディキュアで気分を変えるのも良いですね。足の爪は手の爪より伸びるのが遅いので長持ちします。また近くで見られることが少ない場所なので少しくらい失敗しても大丈夫です。好きな色の爪は気分を明るくします。
健康的な足はその人を活動的にします。手軽なフットケアを毎日の習慣に取り入れて、一年中きれいな足元を目指しましょう。
嵯峨 真輝 (さが まき)先生
学生の頃から小児皮膚科や女性特有の皮膚科疾患に特に興味を持って学んできました。私自身も妊娠・出産を経験し、子供を育てながら医師の仕事を続けております。